クラシックCDこの曲ベスト3 File-017
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番ハ短調Op.13「悲愴」
ベートーヴェンの初期の
ピアノソナタの頂点を成す傑作です。
「悲愴」という仰々しい表題が
ついてはいますが、
ベートーヴェンの創作後期の
深刻な苦悩に比べれば
「青春の悩み」程度と
受け止めていいのではないでしょうか。
第2楽章の
美しく物憂い旋律が大好きなのは
私だけではないと思います。
ギレリス(ピアノ)
![](https://i0.wp.com/www.xn--68j2bd00b5dpc7181c2ssb6kvp57b6yf.club/wp-content/uploads/2020/08/2020.08.05-1.jpg?resize=700%2C700&ssl=1)
このピアニストの
がっちりとした音色は
まさにドイツ正統派の音楽を
奏でるのにふさわしい
演奏となっています。
さらに晩年期の演奏であり、
円熟味も加わっています。
特に第2楽章は、
何ともいえない味わい深さです。
バレンボイム(ピアノ)
![](https://i0.wp.com/www.xn--68j2bd00b5dpc7181c2ssb6kvp57b6yf.club/wp-content/uploads/2020/08/2020.08.05-2.jpg?resize=700%2C700&ssl=1)
悠然と構えた演奏であり、
こちらもギレリスに負けず劣らず
ベートーヴェンらしさに溢れています。
私がベートーヴェンの
ピアノソナタ全集を入手したのは
このバレンボイム盤が最初でしたので、
特別な思い入れがあります。
ピアニストとしても指揮者としても
優れていると思うのですが、
日本では人気が今一つなのが残念です。
HJ.リム(ピアノ)
![](https://i0.wp.com/www.xn--68j2bd00b5dpc7181c2ssb6kvp57b6yf.club/wp-content/uploads/2020/08/2020.08.05-3.jpg?resize=700%2C700&ssl=1)
以前取り上げた
若手女性ピアニストです。
彼女のタッチは、
ベートーヴェンらしさという点では
むしろマイナス点ではないかと
思うのです。
しかし、伝統に囚われない解釈、
特に第1楽章での弾むような演奏は、
この曲の新しい聴き方を
提示していると思うのです。
この曲にはまだまだこんな魅力がある、
そう感じさせてくれる演奏です。
私はあまりピアノの演奏に
こだわりが少ないので、
お気に入りの演奏も
ころころ変わります。
ブレンデルの新旧2種の録音、
グルダの定評ある演奏、
ギイの現代的攻撃的な演奏、
メロディ・チャオの華麗な演奏、
どれもこれも
やはり聴きごたえがあります。
(2020.8.5)